250円

24th Nov 2015 by

89040001

 

シャネルか?

イブサンローランか?

いつか嗅いだ事のある香水の香りがする。早朝の瞼が重たい腰をあげ、視点の先に早々にがっかりした。

今月の13日からニューヨークに戻った。僕のアパートメントはブルックリンのフラットブッシュ沿いにあり、その地域は特にカリビアンの多い地域で朝から晩までパトワ語(ジャマイカの言葉)が聞こえてくる。騒がしくて、ゾンビ化したホームレスも結構頻繁にいるし、決して治安のいい地域とは言えない。そこからLafayetteの事務所がある同じブルックリンのグリーンポイントまでは、地下鉄を乗り継ぎ約40分で着く。グリーンポイントはイカレテル奴も、うちの近所に比べれば比にならないくらい少なくて、治安もかなり良い。学生の頃はブルックリンのゲットーな生活にどこか憧れがあって、いや、、、正直ゲットーな生活をしている自分にでも満足していたのだ。いろんな意味で真っ青だ。

今日も眠気とブラックコーヒーがビーフの中、早朝のニューヨークの地下鉄は現実的だった。本当にサラダボールが揺れている。白、黒、黄色、ラティーノ、インディアン……..イメージ通りの地下鉄の中で朝からリンゴ食ってる奴などはまず見ない。日本と何も変わらない、彼らにとっての”いつも”があるだけで、大体がI phone片手に今日も眠たそうだ。ところで、ニューヨークで聴くビギーはいつもよりもジューシーだ。音楽で道中の40分間がかなり豊なものになる。それだけというわけではないけど、ニューヨークにいる時はニューヨークアーティストを聴くタイミングが自然と多くなって、毎回新たなアーティストに出会う。前回はハーレムで出会ったSmoke Dza。最高にクールなラッパーだ。目の前の画と耳の奥の音楽が重なると不思議な気持ちが沸いてくる。普段は波を打たないバロメーターが好きなのに、殴り書きの絵のような乱暴に跳ねるテンションが心地良い。大袈裟でものすごくスクエアーな考えだと昨日の煮え切らないリンゴが馬鹿馬鹿しく見える。超感覚的快楽ドラッグだ。一曲 250円。よく考えて欲しい。これは馬鹿みたいに安い。

プラットホームを上がり地上に出て、マンハッタンアベニューを下れば事務所だ。もう通いだして2年以上が経つ。近所にも知り合いもたくさん出来たから、歩く時は音楽を止めて極力人と話す事にしている。朝の挨拶は気持ち良くて、今日もいつも自転車を押してる白人のおじーちゃんに無視された。これはある意味でこれでいいんだ。ある日挨拶されてしまったら、何かが終わってしまった気になりそうだ。変わらないで欲しいなんて想う気持ちは本当に勝手なものだ。

事務所までの最後のデリで眠気覚ましにレッドブルを一本買った。

一気に飲み干して、エレベーターを上がり事務所に着いた。

デスクに座り今日も思う。

やっぱり音楽が安すぎる。

KIKIhumanmonochrome

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