秀逸!PATCH WASHED FIELD JACKET by NDEMN

11th Oct 2016 by

ちょっとこのジャケットの出来がいいのでご紹介を。

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PATCH WASHED FIELD JACKT

永遠のミリタリージャケットのクラシックにして代名詞M-65。アメリカ軍の野戦用ジャケット、1965年型として正式採用。

長い期間軍に導入され続け、そのデザインと機能性は世界各国機関の制服や音楽やファッションといったカルチャーシーンに影響を与えました。

そんなM-65をベースにLafayetteのエッセンスで仕上げられたフィールドジャケット。

ミリタリーが得意のラファイエットらしく、今回もやってます。

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まず生地がやわらかく、着心地がいいです。ウォッシュ加工が施されていることにより、程よい固さを残しています。

アタリも絶妙な出方をしていて、本来なら土臭くなるところ、時代性的にシャレた感じに仕上がっています。

これはイナタいテイストを得意とするラファイエットの、都会的にブラッシュアップするスキルを堪能してもらえるかと。

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ブランドものらしいディテールの切り替えし。これが一気にガチミリ物のファッション的な落とし穴「単調さ」を払拭してくれます。

これがあるとないとじゃ大違い。単一なイメージがひっくり返り、軽さも出るので一気にどんなアイテムにも合わせやすくなります。

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M-65にもある腹部に入るドローコード、特徴的な裾のドットボタンのスリットでシルエットを変えることもできます。

とりあえずバックシルエット、かっこいいじゃなくて「男前」じゃないですか?

後姿がかっこいいかどうかは個人的にけっこう重要なポイントです。

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適度にラフな仕上がりのワッペン。ここ、重要ですw なんでってM-65ぐらいの年代のガチなもののクオリティもこんな感じだからです。

これを知らずに普通のファッション的な感じでハイクオリティにしてしまうと、ルーキー感出ます。

細かいかもですけどね。そういうトコでしょみたいな。

適度にポップでゆるいデザインなのもそういうトコです。ウォッシュのお陰でなじんでてイイ雰囲気です。

もちろんデザインにもラファイエットらしいエッセンスを。

このフロントポケットの形もかなりいいんですよね。

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そして一番気にいってるポイント、襟が高いこと。これだけでスタイリッシュさが全然違います。

高さを上げることで防寒性も上がります。

首元からの風を遮断すると体感温度は変わるんですよ。ストールやマフラーがいい例です。

襟部分には本家同様フードが収納されています。 これも薄さがリアルです。

あと隠れたグッドデザイン。

肩のフラップ…エポレットが短いんです!

これによって実物特有の肩パッドみたいなシルエットでゴツくなりがちな感じがちょうどいい軽さに。

ウォッシュ加工と生地のやわらかさと相まってシャツジャケット感覚でさらっと着れるジャケットになっているんです。

 

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と、Lafayetteヘッズみんなが注目するようなアイテムではないですが、個人的にマジで一押しのジャケットです。

ちなみにこれは突っ込みすぎかもしれませんが最後にツボポイントを。

M-65の基本の素材はコットン:ナイロン対比が50:50 / 55:45なのに対し、このPATCH WASHED FIELD JACKETはコットン100%なんです。

これはM-65の前採用モデルM-51の仕様なんです。

こういうトコがイケてるw

 

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Check detail: WOODLAND CAMO

Check detail: MILITARY GREEN

 

 

本来純粋な戦闘服として生まれたM-65が、ファッションとしてミリタリーを代表するアイテムになっているのはなぜか。

そこにはやはり「戦闘」があります。

諸説ありますが1955年頃から1975年のおよそ20年に渡り、南北分裂状態のベトナムで起きた諸外国が参加した熾烈なベトナム戦争

そこにM-65が大量投入されていた事により、アメリカ軍放出品として安価に大量に出回り、長期に渡る戦争に反戦を訴える層やアングラ・パンク・ヒッピー他シーンで着用されていった事も理由になると思います。

 

時代を象徴する名画で主役を象徴するアイテムとして着用されていた事も理由の一つですね。

 

1982年、ベトナム帰還兵を描いた邦題ランボーのシルベスター・スタローン。

 

1976年、マーティン・スコセッシ監督のTAXI DRIVERのロバート・デニーロ。

これもベトナム帰還兵として。

 

1973年、当時横行していたNY市警の汚職や腐敗に立ち向かった警察官フランク・セルピコの実話に基づいた作品SERPICOのアル・パチーノ。

日本のはあまり表面化しませんし、日常出会う警察の方は何でもないと思いますが、海外ストリートシーンでのFTPはこういう社会的な面が根強くあるみたいですね。

 

2010年、1971~1980年のニューヨーク時代のジョンの記録映画。

 

こういったトコからもM-65が特に象徴的なものだという事が伝わると思います。

それと同時にアメリカにとって多くの戦争史の中でも「ベトナム戦争」というのが特別なものだというのが見えてきます。

長期に渡る戦争で心身共に削ってきたベトナム帰還兵は様々な問題を浮き彫りにし、社会問題となります。

 

他にもベトナム戦争やベトナム帰還兵(戦争毎に帰還兵というのは確実に存在しますが、ベトナム帰還兵だけは固有名詞のように呼ばれます)を描いた名画にはプラトーン(1986)・地獄の黙示録(1979)・フルメタルジャケット(1987)、フォレスト・ガンプ(1994)などがあるので、興味のある人は見てみてください。

 

M-65は自分の主義・主張やインディヴィジュアル性を体現するファッションアイテムとしてもアイデンティティを確立していったといえるんじゃないでしょうか。

 

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このベトナム戦争に関わる中で1963年、南ベトナムの現ホーチミン市のアメリカ大使館前である抗議が行われます。

 

それがこちら。

 

 

 

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当時の南ベトナムのゴ・ディン・ジエムによる独裁政権下の仏教徒に対する弾圧への抗議として、仏教徒の釋廣德/ティック・クアン・ドック師が生きたままガソリンをかぶり、支援者に見守られながら焼身自殺を行います。

個人的に人生の中でも衝撃的な一枚です。撮影はアメリカ人ジャーナリストMalcolm Wilde Browne。

この様子は世界に広く知れ渡り社会に大きな影響を与えたそうです。

 

そしてこれは後に政府や組織からもマークされるほどのパワーで社会的なメッセージを放ったロックバンドのファーストアルバムのジャケットになります。

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俺はこのバンドが大好きです。

 

なぜガソリンによる焼身自殺だったのか?

これは何かで読んだんですが、自殺する方法の中で最も苦しいということ。

一番最後まで意識があり、苦しむのが焼身自殺だそうで、燃えつきていく自分を見るようです。

さらには体全体が燃えることにより口腔内の空気が燃え気管を焼き酸欠状態にもなりかなり苦しむようです。

 

ティック師は絶命するその瞬間まで仏教で最も尊い座り方とされる結跏趺坐(けっかふざ)/蓮華坐を崩さなかったといわれています。

 

知っている人でも写真しか知らない方も多いんじゃないかと思いますが、動画があるのでリンク先で。

 

「後にその様子を見る機会もあったが一度で十分だ。炎が体から舞い上がり、体はどんどん小さくしぼんでいき、頭は黒く焦げていった。あたりは皮膚が焼ける臭いがたち込めた。人間というのは驚くほど早く燃えてゆく。 私の後ろからは集まったベトナム人のすすり泣きが聞こえた。泣くにはあまりにショックで、書きとめたり疑問を投げかけるにはあまりに混乱し、うろたえて、考えることすらできなくなった。燃えていく彼は微動だにせず、声も発さず、彼の落ち着きはらった様子は周りの泣き喚く人々とのコントラストを醸し出していた。」 – David Halberstam (The New York Times)

 

 

ちなみにM-65の65とは65年採用という意味。

そして1965年はベトナム戦争下において「北爆」と呼ばれる南ベトナムを支持するアメリカ軍による北ベトナムへの大規模な爆撃が行われた年。

 

服から始まり、いろいろなことを知ってみてください。

それが着るだけじゃなく、「着こなす」ことへの唯一の道かもしれません。

 

Yes I know my enemies
俺は俺の敵を知っている
They’re the teachers who taught me to fight me
それは、俺に「自分自身と闘え」と教えた教師たちだ
Compromise, conformity, assimilation, submission
それは、妥協、順応、同一化、服従だ
Ignorance, hypocrisy, brutality, the elite
それは、無知、偽善、残虐行為、選ばれたエリートだ
All of which are American dreams
つまりはすべてのアメリカン・ドリームだ

 

 

NDEMN

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